GUIDE|士業の先生向け

清算人・管財人の不動産換価の進め方

相続財産清算人・破産管財人・不在者財産管理人として不動産の換価にあたる弁護士・司法書士の先生方向けの記事です。換価は通常の売却と違い、裁判所の許可と説明責任が常について回ります。許可の枠組みを整理したうえで、価格の相当性の示し方と販売経過の記録(不動産業者側が担うべき部分)を、当社がどうお手伝いできるかを含めてまとめました。

2026年8月2日時点の情報です。法令・裁判所の運用は変わることがあります。

結論:清算人・管財人による換価は「裁判所の許可を前提にした売却」です。要になるのは、価格の相当性を示す資料と、販売経過を後から説明できる記録の2点です。
  • 相続財産清算人の不動産売却は、家庭裁判所の権限外行為許可が前提です(民法953条が準用する28条)。
  • 破産管財人の任意売却は、裁判所の許可事項です(破産法78条2項1号)。
  • 裁判所の運用では、価格の相当性を示す資料として不動産業者の査定書の提出を求められることが多くあります。当社は実成約データに基づく、第三者が検算できる査定書をお作りします。
  • 当社は買取をしない媒介(仲介)の会社で、換価物件の買主にはなりません。換価の相手方に回らないことで、利益相反の疑義を構造的に避けています。

1. この記事の前提と、当社の立場

先に当社の立場を明らかにしておきます。株式会社ユーエスハウジングは品川区西品川の媒介(仲介)の会社で、買取をしません。つまり、先生が換価される物件の買主に、当社がなることはありません。換価の相手方に回らない業者であることは、管財業務・清算業務のように公正さが問われる場面では、それ自体が意味を持ちます。

法的な判断(換価の要否、許可申立ての要件整理、利害関係人への対応)は先生の領分です。この記事は、その周辺で不動産業者が受け持つ実務(価格資料・販売活動・現地の事実整理)を、先生の手続に沿った順番で整理するものです。

2. 相続財産清算人の換価

相続人のあることが明らかでない相続財産について、利害関係人または検察官の請求により家庭裁判所が相続財産清算人を選任します(民法952条1項)。選任後は、選任の公告と相続人捜索の公告が併せて行われ、その期間は6か月を下ることができません(同条2項)。

不動産の売却は、保存行為の範囲を超える処分行為ですから、家庭裁判所の権限外行為許可を得て行うことになります(民法953条が準用する28条)。

換価の時間軸で押さえておきたいのは、公告期間・債権者への弁済・(申立てがあれば)特別縁故者への財産分与の判断(民法958条の2)を経て、残余が国庫へ帰属する(民法959条)という一連の流れの中に売却が位置づけられることです。売り出しの開始時期・引き渡し時期の設計は、この手続の進行と整合させる必要があり、当社が販売スケジュール案を作る際も、先生の手続予定を先に伺ってから組み立てます。

よく出る論点不動産側で起きること当社の受け持ち
価格の相当性許可申立てに価格資料が要る実成約データ対比の査定書(複数社体制にも対応)
現況の把握被相続人の残置物・老朽・境界不明確が多い現地調査・写真・残置物処分と測量の見積もり取得
買主の確保現況引き渡し・契約不適合責任の免除など、条件面の調整が要る条件を明示した売り出しと、検討経過の記録
引き渡し時期手続の進行と連動する許可を停止条件とする契約構成など、先生の方針に合わせた調整

3. 破産管財人の任意売却

破産管財人が破産財団に属する不動産を任意売却するには、裁判所の許可が必要です(破産法78条2項1号)。

実務で不動産側の調整が要るのは、多くの場合、担保権(別除権)との関係です。被担保債権が売却見込み額を上回る、いわゆるオーバーローンの物件では、抵当権者との間で抹消の条件を調整したうえでの任意売却が検討され、協議が整わない場合の制度として担保権消滅許可の申立て(破産法186条)が用意されています。どの道筋を取るかは先生のご判断ですが、どの道筋でも「その価格が相当であること」の裏付け資料は共通して必要になります。当社の査定書は、抵当権者への説明にも裁判所への疎明にも使える、根拠の内訳を明記した体裁でお作りします。

競売との比較で任意売却が選ばれる場面では、回収額だけでなく、現況(残置物・占有状況・境界)を踏まえた価格の裏付けと、販売経過の透明性が問われます。この2つは、この後の「価格の相当性」「販売経過の記録」の章の内容がそのまま当てはまります。

4. 不在者財産管理人の場合

不在者財産管理人(民法25条)による不動産の売却も、構造は同じです。売却には家庭裁判所の権限外行為許可が必要です(民法28条)。遺産分割や共有物の処分の前提として選任されることが多く、共有者側との条件調整と、不在者の利益を害さない価格であることの説明が中心的な論点になります。

5. 価格の相当性を、どう示すか

家庭裁判所の権限外行為許可の申立てでは、家庭裁判所によっては、申立ての案内で処分の相当性を示す資料として不動産業者の査定資料の提出を求めており、運用上、複数社の査定を求められることもあります。裁判所に出す査定書に求められるのは、高い金額ではなく、第三者が検算できる根拠です。

当社の査定書は、次の体裁でお作りしています。

  • 国土交通省の実成約データとの対比:不動産情報ライブラリの成約情報から、同一町名・近隣の宅地取引を抽出し、坪単価の分布の中で対象物件をどこに置くかを明示します。当社は品川区南部14町の成約相場を四半期ごとに集計・公開しており(相場レポート)、査定書の相場観はこの公開データと同じ基礎から作ります。
  • 減価要因の内訳:接道・道路幅員・土地の形状・越境・残置物・建物の状態など、標準的な取引と比べた減価の根拠を項目ごとに書きます。「諸般の事情を考慮して」という書き方はしません。
  • 売り方の前提の明示:現況引き渡しか、残置物撤去後か。契約不適合責任の扱いはどうか。前提が変われば価格も変わるため、査定書に前提条件を明記します。

項目と並びは、裁判所提出用の査定書の見本でそのままご覧いただけます。

対象物件の町名の相場水準は、公開中の相場レポートでいつでもご確認いただけます。個別物件の査定書は、資料一式(登記情報・図面等)をいただければ作成します。住所を入れるだけで概況の価格資料が作れる先生専用ページ(無償)もご用意しています。

先生専用の査定ページのご案内はこちら

6. 販売経過の記録|後から説明できる形に

換価の売却が通常の売却と違うもう一つの点は、「なぜこの買主に、この価格で売ったのか」を後から説明できる必要があることです。債権者集会・利害関係人・裁判所。説明の相手は案件によって違っても、要るものは同じで、販売活動の記録です。

当社が媒介でお預かりした場合、次を標準でお渡しします。

  • レインズ登録証明書:業者間流通ネットワークに登録した事実と日付が残ります。証明書のID・パスワードで、登録内容と取引状況を先生ご自身が直接確認できます。
  • 販売状況の報告:問い合わせ件数・内見件数・検討離脱の理由を、法定の報告と同じ内容で先生にお送りします。口頭の「頑張っています」ではなく、数字の残る形です。
  • 検討経過の記録:複数の購入検討があった場合の条件比較、価格変更をした場合の判断材料を、時系列で書面に残します。

当社は囲い込み(他社経由の購入希望を理由なく断る行為)をしません。換価案件では、広く買主を探したこと自体が価格の相当性の裏付けの一部になるため、販売経路を開いておくことは手続の利益と一致します。

7. ご依頼いただく場合の役割分担

領分先生当社
法的判断換価の要否・許可申立て・利害関係人対応・契約書の法的確認―(立ち入りません)
価格採否のご判断査定書の作成・相場資料・価格変更時の判断材料の提供
販売方針のご決定売り出し・内見対応・買主候補との条件整理・経過記録
現地―現況調査・写真・残置物処分と測量の見積もり取得・役所調査
登記・税務先生または先生のお付き合いの専門家―(先生の領分に踏み込みません)

よくあるご質問

Q. 査定書は何社分必要ですか?

A. 裁判所・裁判官の運用によりますが、価格の相当性の裏付けとして複数社の査定を求められることがあります。当社の査定書は、国土交通省の実成約データとの対比・近隣の取引事例・減価要因の内訳を明記し、第三者が検算できる体裁でお作りしています。他社査定と並べて提出される前提でお使いいただいて差し支えありません。

Q. 占有者や残置物がある物件でも依頼できますか?

A. ご相談いただけます。残置物の量の把握・処分業者の見積もり取得・現況写真の整備など、換価方針を立てる前の現地把握からお手伝いします。占有関係の法的な整理は先生の領分ですので、当社は現況の事実を記録した資料をお渡しする役割です。

Q. 遠方の相続人・利害関係人が多い案件でも対応できますか?

A. 対応します。書類のやり取りは郵送・電磁的方法で進め、現地の確認・写真・所見は当社がまとめて共有します。売却状況の報告は、先生と関係者に同じ内容をお送りする形にできますので、説明の二度手間を減らせます。

出典・参考

この記事について

宅地建物取引士が執筆し、株式会社ユーエスハウジングが監修しています。品川区西品川の事務所を中心に、相続・空き家・権利関係の整理が必要な物件のご売却を媒介(仲介)でお手伝いしています。借地・底地・無接道など、換価案件で出やすい「通常と進め方が異なる物件」も扱います。当社は買取をしないため、先生の換価の相手方に回ることはありません。

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案件のご相談・査定書のご依頼

物件の所在と手続の種類(清算・管財・不在者)をお知らせいただければ、確認のうえお返しします。お預かりする情報は当該案件の目的以外に使いません。

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※本記事は2026年8月2日時点の一般的な情報のご提供を目的としたものです。許可の要否・申立ての要件・必要書類は、裁判所ごと・事案ごとの運用により異なります。法的判断に関わる事項は、実際の手続における裁判所の指示・運用をご確認ください。本記事は法的助言ではありません。

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