「親の家、売るなら生前か、それとも相続してからか」。ご相談で特に多いご質問のひとつです。税金・手続き・ご家族の事情という3つの軸で、判断の分かれ目を平易に整理しました。
最初に確認したいのは、「そもそも、うちは相続税がかかる規模なのか」という点です。相続税には基礎控除があり、その金額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます(国税庁 No.4152)。遺産の総額(実家や預貯金などの合計)がこの範囲に収まれば、相続税は原則としてかかりません。
たとえば相続人が子ども2人なら、基礎控除は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」です。実家と預貯金を合わせてもこれを超えない見込みなら相続税の心配は小さく、売る時期は「譲渡所得税の特例をどちらが使いやすいか」「手続きの手間」「ご家族の事情」で比べることになります。
一方、基礎控除を超えそうなご家庭では、財産を「不動産のまま」持つか「現金」で持つかで相続税の評価が変わるため、売るタイミングの影響が大きくなります。
親が元気なうちに実家を売る、いわゆる生前売却です。プラスに働きやすいのは次のような点です。
一方で注意したいのが、相続税への影響です。不動産は相続税の計算上、路線価などをもとに評価され、市場価格より低くなる傾向があります。要件を満たせば「小規模宅地等の特例」で評価がさらに下がる場合もあります。これに対して現金は額面どおりに評価されるため、相続税がかかる規模のご家庭では、生前の現金化が税負担を増やす方向に働くことがあります。
また、親の判断能力が低下すると、生前売却そのものが難しくなります(後述のFAQ参照)。生前に売る選択肢を残すなら、早めの話し合いが大切です。
相続が発生してから、相続人が実家を売るパターンです。プラスに働きやすいのは次の点です。
注意点は、時間と意思決定です。相続後に売るには、遺産分割協議(誰が相続するかの話し合い)と相続登記(名義変更)を済ませる必要があり、売り出しまで時間がかかりやすくなります。また、実家を兄弟姉妹の共有名義にすると、売却に共有者全員の同意が要るため、意思決定が難しくなることがあります。空き家のまま置く期間の管理や固定資産税の負担も見込んでおきたいところです。
| 観点 | 相続前(生前)に売る | 相続後に売る |
|---|---|---|
| 主な特例 | 居住用財産の3,000万円特別控除(No.3302)、10年超所有の軽減税率(No.3305)を使える場合がある | 小規模宅地等の特例(最大80%減)、空き家の3,000万円特別控除、取得費加算を使える場合がある |
| 相続税への影響 | 現金は額面どおり評価されるため、負担が増える方向に働くことがある | 不動産のまま相続すると評価を抑えられる場合がある |
| 手続き・期間 | 親本人の意思で進められる(判断能力があるうちに限られる) | 遺産分割協議・相続登記が必要で、時間がかかりやすい |
| 分けやすさ | 現金になるため分けやすい | 共有名義になると意思決定が難しくなることがある |
| 向きやすい例 | 相続税がかからない規模で、老後資金に充てたい場合 など | 相続税がかかる規模で、小規模宅地等の特例の要件を満たす場合 など |
※一般的な傾向の整理です。実際にどちらが有利かは、財産の内訳・ご家族構成・各特例の要件を満たすかどうかで変わります。
迷ったときは、次の順番で整理すると考えやすくなります。
ユーエスハウジングは、相続や空き家のご売却を媒介(仲介)でお手伝いする品川区西品川の不動産会社です。税の個別判断は提携税理士へお取次ぎし、相場の把握や売却の段取りは当社が一緒に整理します。
相続税の心配が小さいご家庭では、比較の中心は譲渡所得税の特例と手間になります。親が住んでいるうちに売るなら居住用の3,000万円特別控除、相続後に売るなら空き家の3,000万円特別控除と、それぞれに道がありますが、要件はまったく別です。どちらの要件に当てはまりそうかで結論が変わるため、売り出す前の確認をおすすめします。
別の制度です。居住用財産の特例(国税庁 No.3302)はご本人がマイホームを売ったときのもので、主に生前の売却で検討します。空き家の特例は、相続した家(亡くなった方がひとりで住んでいた昭和56年5月31日以前建築の家屋など)を相続人が売ったときのもので、相続後に検討します。控除額が同じ「最高3,000万円」のため混同されがちですが、要件も使う場面も異なります。
判断能力が十分でなくなると、ご本人名義の不動産をご家族の判断だけで売ることは原則としてできません。成年後見制度を利用する方法はありますが、居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要で、時間もかかります。生前売却を選択肢に残したい場合は、親が元気なうちに家族で方針を話し合っておくことが大切です。
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本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の取引や税務上の判断を勧めるものではありません。税額や特例の適用可否は個別のご事情により異なりますので、実際のご判断にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。株式会社ユーエスハウジングでは、提携税理士へのお取次ぎも承っています。